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【「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記】阪神が首位戦線に残るには北條、上本のポジション定着&安定が不可欠 イビツな二遊間の起用法…

【「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記】阪神が首位戦線に残るには北條、上本のポジション定着&安定が不可欠 イビツな二遊間の起用法… - SANSPO.COM(サンスポ)

 

 

 北條、上本のポジション定着&安定がチームを新たなステージに導きます。阪神は17試合を消化(21日現在)した時点で10勝7敗、首位・広島と1・5ゲーム差の2位。大健闘ですが、今後の戦いに向けた大きな課題は二遊間の安定です。鳥谷とのポジション争いを制した北條が3試合連続スタメン落ちしたり、上本は巨人戦(21日=東京D)の五回裏から守備固めで交代させられました。捕手・梅野の定着を含め、センターラインの安定こそが優勝争いに生き残るポイントですね。

 

 先の中日3連戦(18日~20日=ナゴヤD)を終えた段階で、金本阪神セ・リーグ5球団とひと通り戦い終えました。広島とはビジターとホームで2度の3連戦がありましたね。昨年は広島に大きく負け越しましたが、今季は6戦して3勝3敗の五分です。21日の巨人戦(東京D)に4ー1と勝った時点で10勝7敗の貯金3。勝率・588の2位は上々のスタートでしょう。

 

 「まだまだ先は長いからね。一喜一憂はしない方がいいよ。優勝争いとか優勝や…なんて騒ぎ出す人もいるけど、もうちょっと冷静に見守るべきだ」とは球団首脳の言葉です。確かに143試合の長いペナントレースにおいては、まだ先に何が待ち受けているか、分かりません。あまり無防備に(?)はしゃがない方がいいでしょうね(笑)。

 

 もちろんチームには収穫もあれば、誤算もありますね。先週のコラムでも取り上げましたが、正捕手として期待する梅野がずっとスタメンで出場し続けています。金本監督はリード面に苦言を呈しながら、それでも我慢強く起用しています。

 

 春季キャンプ終盤に一塁へのコンバートが決まった原口も5番に座り、勝負強い打撃を見せています。糸井-福留-原口のクリーンアップは機能してますね。

 

 キャンプからオープン戦に移行する中で、布陣がハッキリしない面があって周囲をヤキモキさせていました。しかし、捕手と一塁が定まり、鳥谷が三塁に入ったことで「スタメンをあまりいじらなくて良くなった」とチーム関係者も安堵(あんど)の表情ですね。

 

 一方で誤算といえば先発ローテーションの軸と考えていた藤浪がインフルエンザを発症。戦列を離脱したり、新外国人選手のキャンベルも左手首の故障から出遅れました。現在は2軍戦に出場して調整中ですね。

 

 チーム内には様々な浮き沈みがあります。それでも上位に付けているのはメッセンジャーを中心とする投手陣の踏ん張りや、FA砲・糸井を中心とする、つながりのいい打線があるからこそですね。そして、チームが今後の戦いの中でさらに首位戦線に生き残れるか否かの大きなポイントは二遊間の安定、定着ではないでしょうかね。

 

 開幕から10試合、スタメン出場が続いていたショートの北條史也内野手(22)は14日からの広島3連戦(甲子園)では3試合連続でスタメンから外れました。金本監督は「外れて悔しさを感じるのも育成の一環」と話していましたが、ルーキーの糸原健斗内野手(24)にスタメンを譲ったのは本人にとっては屈辱だったはずです。

 

 前日のDeNA戦までの打率は・171。打撃不振がスタメン落ちの大きな要因ですが、外された理由はそれだけではないですね。ショートの守備面でも、もうひとつ球際の弱さが見受けられました。記録には表れない“失策”が開幕カードの広島3連戦(マツダ)から何度も、ありましたね。

 

 4試合ぶりにスタメン復帰した中日戦(ナゴヤD)では八回一死一塁から右中間に三塁打。試合を決定付ける一撃を放ちました。「コースに逆らわずに打てました。良い形で。向こう(右中間)に行った。ああいうライナーで打てたのは大きいです。右中間に飛んでくれて良かった」と北條は話していましたが、スタメン落ちの鬱憤を見事に晴らしました。

 

 ただ、鳥谷という球団史にも残るショートを三塁に追いやって、ポジションを得たのです。守備の要ともいえるショートとしての守備力向上は必要でしょう。

 

 実は北條のスタメン落ち、糸原の抜擢にはチーム周辺から様々な声が出ていましたね。

 「チームの中心として長年、頑張った鳥谷を三塁に転向させてまで北條のショートにこだわったんだ。それを開幕10試合ぐらいで外すのは、鳥谷に対するリスペクトがなさ過ぎる…という声がOBから出ていた。鳥谷の気持ちを考えるならば、やはりショートは北條で貫くべき」とは阪神OBの言葉です。

 

 こうした声を封印する意味でも、北條はさらに打撃や守備力を磨き、スタメンを譲らない選手に成長しなければなりません。

 二塁の上本博紀内野手(30)も同じですね。20日の中日戦では1ー1の七回裏、代打・井領が放った二塁ベース寄りのゴロを処理したものの、握り直して一塁セーフ。二死満塁のピンチを招き、さらに京田の一、二塁間の打球を追い切れず、右前に2点勝ち越しタイムリーとしてしまいました。

 

 「ま、守りでしょう。桑原も打たれていないし。その前のプレー(井領のゴロ処理)があって、やっぱり消極的になったんだと思うけど、あそこは、どんどん(打球に対して)攻めていかないと」と、金本監督は激怒していました。

 懲罰ではないでしょうが、続く21日の巨人戦ではリードを守るために、なんと五回裏の守備から上本を交代させ、大和を二塁に。鉄人は試合後、こう話しています。

 

 「(上本は)ちょっと気持ちがね。昨日の一発目のやつを引きずっていると思うんでね。ちょっとリフレッシュというか、気持ちを楽にしてやるという意味も込めて代えました」

 その後、一、二塁間を抜けそうな打球を大和が見事にさばいたため、この交代はズバリ的中したのです。しかし、二遊間のポジションとしての本来の役割を考えれば、こうした不安定な起用法は避けなければなりません。昨年の広島が25年ぶりのリーグ優勝を飾った要因のひとつが二遊間の安定でした。菊池と田中が定着し、投手陣を助けたからです。捕手とセンターを含めたセンターラインの安定が優勝&優勝争いを行うチームの必須条件です。正ショートが3試合もスタメンから外れたり、二塁手に五回から守備固めが入るのは、あまりにもイビツです。

 

 「二遊間には幅広い守備範囲や堅実な守り以外にも、バッテリーを含めたサインプレーなど、守備面での大きな役割がある。二遊間が安定しているとチームとしての守りが安定し、戦い方にもどっしり感が生まれる」とは阪神OBの言葉です。阪神がこれからのペナントレースで首位戦線に生き残るには、北條&上本の定着、安定が欠かせない条件と言えるでしょうね。

 

 戦いながら、勝ちながら選手を育てている金本阪神です。一気にすべてが成せるはずもないですが、北條や上本は一日も早く、監督や首脳陣がスタメン落ちや交代をためらわせる選手にならなければなりませんね。そうでないと、阪神は戦い方もフラフラしてくるでしょう。今後のペナントレースの大きな鍵になりそうです。(毎週日曜掲載)

 

植村 徹也(うえむら てつや)

1990(平成2)年入社。サンケイスポーツ記者として、阪神担当一筋。運動部長、局次長、編集局長、サンスポ特別記者、サンスポ代表補佐を経て産経新聞特別記者。阪神野村克也監督招聘、星野仙一監督招聘を連続スクープ。ラジオ大阪(OBC)の月曜日~金曜日、午後9時からの「NEWS TONIGHT いいおとな」、土曜日午後6時半からの「ニュース・ハイブリッド」に出演中。「サンスポ・コースNAVI!」ではゴルフ場紹介をサンスポに掲載、デジタルでも好評配信中。

 

北條、上本をキーマンに挙げる植村氏のコラムに全く異論はない

その2人に梅野、原口といった若虎が組み合わさると黄金時代が見えてくる

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