阪神鳥谷、巨人阿部らのスタメン外しは正解か?間違いか?
阪神鳥谷、巨人阿部らのスタメン外しは正解か?間違いか? | THE PAGE(ザ・ページ)
阪神の鳥谷敬(35)が30日、甲子園で行われた中日戦でスタメンを外れた。昨年9月30日の巨人戦以来だ。金本監督は、試合後、「鳥(鳥谷)も、調子が落ちてきている。左ピッチャーということもあって、今日、明日で休養も兼ねて、来週からまた(スタメンで)いってもらうぞということで」と、休養の意味をこめてのスタメン外しだったことを明らかにした。
鳥谷は好スタートを切ったが、慣れない三塁の守備での疲労なども蓄積、ここ10試合は、打率.156と調子を落としていた。連続試合出場の記録を更新中の鳥谷は7回に代打で出場、レフト前ヒットを放つと、そのまま守りに入った。
阪神では、福留孝介(40)も休養目的で4月18日の中日戦で1試合、スタメン外しが行われているが、巨人でも、阿部慎之助(38)を4月22、23日の阪神線で続けてスタメンを外して、その起用法が波紋を広げた。知将として知られた球界の意見番の一人が「考えられない」と疑問を投げかけたからだ。下半身に張りが出ていたことも、スタメンから外れた理由のひとつだったようだが、高橋監督は、「阿部にばかり頼るわけにはいかない。他の選手にもがんばってもらわないと」とも語っていた。
これらの起用法は是か非か。
長いシーズンを戦うメジャーリーグでは、ナイターからデイゲームの日程や、東西の長距離移動後のゲームなどで、主力を休ませるような戦略は、当たり前のようにとられている。マーリンズの第4の外野手であるイチローがスタメン出場できるのも、スタントンやイエリッチを休養させるケースでのチャンスだ。
実は日本でも、2005年にロッテのバレンタイン監督が、この起用法を大胆に使ったことがある。
当時、選手だった評論家の里崎智也氏が言う。
「バレンタイン監督はシーズンを通じたマネジメントとして休養をうまく使いました。キャッチャーは、僕と左打者の橋本将、二遊間は西岡剛、堀幸一さん、小坂誠さんの3人で2人を使い、外野はサブロー、フランコ、イ・スンヨプ、ベニー、大塚明さん、DHはフランコ、イ・スンヨプ、ベニーで回していくという起用法でした。
結果、年間を通じてケガ人は減り、各選手が調子を維持することになり、日本一になりました。控えという立場の選手がなく、全員が試合に出るつもりで球場に来るので、心も体もしっかりと準備を整えてくるし、全員のモチベーションが上がります。巨人の阿部の代わりにスタメンで出た村田もモチベーションが上がったのではないでしょうか? またこの起用法は、交代で出る選手のレベルが落ちれば、意味がありません。全体の底上げにもつながります」
当時は、4番打者も日替わりで休みながら使われ、ベニーが73試合、サブローが34試合、フランコが19試合任され、里崎氏も6試合打った。
里崎氏は、「出るか、DHか、休むか、を自分で選びなさい」と、たびたびボビーに聞かれたという。
選手にしてみれば、試合出場が減ると給料が下がるのでツープラトン起用に納得はいかないのだろうが、指揮官と選手が密にコミュニケーションがとれていて、「なぜ休養するか」のチームの戦術理解が浸透していればさほど問題にはならず、当時のロッテでは逆にチームがまとまっていたという。
「休養させることで選手がベストコンディションを維持できるならば、この起用法は有効でしょう。ただバレンタイン監督も、勝負のかかったシーズンの終盤では休養させないんです。フルパワーです。休ませていい時期と、休ませてはダメな時期をちゃんと見極めてマネジメントをしていました。その意味で、終盤でベテラン選手を深刻な故障もないのに休ませているようなら“ちょっと考えられない”というベンチの采配ということになりますね」
この年、ロッテは2位でレギュラーシーズンを終えたが、プレーオフ(現在クライマックスシリーズ)を勝ち抜き、日本シリーズでは、阪神に4連勝して“下克上”を成就し、日本一になっている。
鳥谷や阿部のスタメン外しの是非の本当の答えはシーズン終了後に出るのかもしれない。
投手の分業化は常識になっている昨今。
今度は野手の分業化の是非である
これは難しい。
サッカーでは、ターンオーバー制があり、適度に休むのも常識化しているが、勤労こそ美徳の日本において、ファンがそれを許すか否かである。
自己の生活はフレックスでも、選手は別と言う考えが多いのではないか。
また、指揮官もギャンブルであり、鳥谷が出ずして負けたら、ファンからはクレームが出る。
とはいえ、身体が資本の選手を休ませるのも重要な仕事
答えは風の中にあるかもしれぬ