阪神・鳥谷が昨季から一転し絶好調のワケ。12年ぶりVへ、金本監督待望の「変革」
阪神・鳥谷が昨季から一転し絶好調のワケ。12年ぶりVへ、金本監督待望の「変革」 (ベースボールチャンネル) - Yahoo!ニュース
昨季は極度の不振に陥っていた阪神タイガースの鳥谷敬内野手が、8日現在で打率.311と絶好調だ。本来のプレーを取り戻し、再び主将となることが待ち望まれている。
阪神タイガース・鳥谷敬内野手が絶好調だ。5月7日の広島東洋カープ戦(甲子園)では3打数2安打5打点の活躍でチーム5連勝に大きく貢献した。その最近5試合でも5戦連続安打、18打数9安打で打率5割。とにかく打ちまくっている。今季の通算打率も3割1分1厘にまで引き上げており、首位・タイガースで今一番頼りになる打者と言っても決して過言ではない。
昨季は不振に苦しんだ虎の背番号1。攻守に精彩を欠いて6月には自己ワーストの28打数無安打を記録し、守備でも致命的なミスが目立った。昨年7月24日の広島戦(マツダ)では連続フルイニング出場も667試合でストップ。正遊撃手の座も失ってしまった。
しかし今季は完全復調に向け、波に乗りつつある。昨季と違って一体、何が変わったのか。よく指摘されているのが、それまでの重責から開放された点だ。鳥谷は野手やチームキャプテンを5年間に渡って任されていたが、今季から新主将にチーム最年長の福留孝介外野手が任命された。
しかし、その座はあくまでも福留が一時的に「預かった」という形。来季からは再び鳥谷にバトンを返し、主将に復帰することを望んでいる。鳥谷にはグラウンドだけに集中できるような環境で本来のプレーをまた取り戻してほしい。そして今季復活を遂げた暁にはこれまで同様、チームのためにキャプテンシーを発揮してもらいたい――。新主将・福留はチーム全体の総意として、そういう強い願望を持ち続けている。身軽になった鳥谷は周囲の配慮に感謝しつつ、何とか期待に応えようともう一度原点に立ち返るべく必死になって自分を追い込んでいる。それが好結果に結びついているのだろう。
遊撃から三塁にコンバートされたことも大きい。昨季終盤で失った正遊撃手の座を奪い返そうと、春季キャンプでは若手の北條史也と激しいポジション争いを繰り広げたものの結果として敗れてしまった。代わって開幕からは三塁が定位置となったが、チーム内では「遊撃よりも守備の負担が軽減したこともあって、打撃により目を向けやすくなった」ともっぱらだ。
この鳥谷復調を誰よりも待ち望んでいた人物こそ金本知憲監督だ。福留の新主将就任、そして鳥谷の三塁コンバートは思えばいずれも指揮官が断を下したプランだった。
就任当初から「鳥谷の変革がなければ、チームも変わらない」とぶち上げ、本人の尻を叩き続けてきた。だが、そんな指揮官の意気込みとは裏腹に金本監督の就任1年目の鳥谷はかつてない大スランプにさいなまれ、どん底にまで落ちた。
「鳥谷と金本監督は水と油の関係。闘争心をむき出しにする指揮官と、闘志を内に秘めるタイプのトリ(鳥谷)では性格的に合うはずがない。監督がワーワー言えば言うほど、本人はやる気をなくす」
そういう声を複数の筋から聞いたことがある。信ぴょう性は正直言って分からないが、確かに鳥谷と金本監督が違うタイプの人間であることは取材を重ねていて感じるところもある。それでも金本監督が鳥谷の存在を「買っている」ことは疑いようのない事実だ。
連続フルイニング出場は途切れたとはいえ、連続試合出場数は今年4月19日の対中日戦(ナゴヤドーム)で1767試合に到達。自らが現役時代に達成した1766試合連続出場記録を上回った“鉄人ぶり”も金本監督は誰よりも高く評価している。黙々とポーカーフェイスを貫きながらも物凄いプレーを連発させることで、若虎たちを背中で引っ張ってくれ――。指揮官は鳥谷にそう願っているに違いない。
仮に自分とはまったく違う「水と油」であったとしても金本監督は鳥谷の覚醒を待ち望み、ここまでさまざまな再生プランを施してきた。それが今、ようやく鳥谷本人の心に響き渡ってうまく融合してきたのだろう。
金本監督の思惑通りに猛虎のキーパーソン・鳥谷が今季で完全復調を遂げれば、阪神の12年ぶりとなるリーグVもグンと近づきそうだ。
臼北信行
ベースボールチャンネル編集部
鳥谷とタイプが違い相反しながらも、一番鳥谷を認めていた指揮官。
プロは仲良し軍団ではない。
しかし、相反す部分があるものの、同じ釜の飯を食べてたもの同士、やはり一丸となるときはなるのであろう。
指揮官がベテランとしてチームを引っ張ってた時の新人鳥谷が、新人監督を支えるベテランとなってチームを引っ張っていくのが理想的だ。