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阪神「常識破り」の快進撃――最多失策を補う「バウンスバック」

阪神「常識破り」の快進撃――最多失策を補う「バウンスバック」 (スポニチアネックス) - Yahoo!ニュース

 

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【内田雅也の広角追球】阪神が野球の常識を覆す快進撃を見せている。ホーム・ビジターで全5カードの対戦を終え、30試合で何と30失策。飛び抜けてセ・リーグ最多だが、立派に首位に立っている=記録は5月8日現在。以下同=。


 1試合に1個、シーズン143失策ペースというのは異常だ。守備力が向上し、グラウンドが整備され、グラブの性能も進歩した1970年代以降のプロ野球ではあまり例がない。わずかに2003年のオリックスがシーズン132失策が見られる程度だ。この年、チームは優勝したダイエー(現ソフトバンク)に33・5ゲーム差をつけられての最下位だった。

 守備力と順位はおおむね正の相関関係にある。堅固な守備陣の上に勝利が輝く、というのが定説となっている。

 それでもリーグ最多失策で優勝した例はある。

 最近では2011年の中日がリーグ最多失策で優勝を果たした。ただ、この年はリーグ平均守備率が9割8分7厘と高く、中日の失策数も83個と少なかった。リーグ最高の防御率2・46という強力投手陣の足を引っ張るほどではなかった。

 パ・リーグでは2008年の西武が最多98失策で優勝。チーム198本塁打は2位のオリックス152本に大差をつけて最多。他チームを圧倒する攻撃力があった。

 他に2リーグ分立後、最多失策で優勝した例はセで60年大洋(現DeNA)、74年中日、82年中日、88年中日、パで67年阪急(現オリックス)、72年阪急、76年阪急、78年阪急、89年近鉄、95年オリックスがある。

 では、先の中日の投手力や西武の攻撃力ように、今季の阪神は何が弱い守備力を補っているのだろう。チーム打率2位、本塁打数5位、防御率2位……など、特筆すべき数字は見えない。あえてあげれば、救援陣の防御率2・13がリーグ最高で、桑原、マテオ、ドリスらの必勝継投が確立されている点だろうか。

 いや、数字には表れ出ない特徴に「反発力」がある。ミスを取り返す力と言えばいいだろうか。

 たとえば、球団史上最多9点差を逆転で勝った5月6日の広島戦(甲子園)では、6回表まで3失策。この時点で1―9だった。ところが、2失策の中谷が6回裏に死球と7回裏に左前打、1失策の原口が押し出し四球を選ぶなど、攻撃面で逆転に貢献して見せた。

 その前日5日の広島戦(甲子園)も0―4からの逆転勝利だったが、3日ヤクルト戦(神宮)でバント失敗するなど、1軍生き残りが危うかった江越が起点の四球(今季初出塁)を選び、打線に火をつけた。

 こんなことが実に多いのだ。ミスを取り返す力について、スポニチ本紙評論家の広澤克実さんが自身のブログ『トラさんのちょっと虎話』で書いている。まだ開幕3連戦を終えたばかりの4月3日の投稿で、いわば予言していたわけだ。

 <よく「野球はミスをした方が負け」という言葉を耳にする。実際はミスをしても勝つことはある。正しくは「ミスを取り返せない方が負ける」と思っている。野球にミスは付き物だ。重要なのはそれらを取り返せれば、何の問題もない>。

 広澤さんはゴルフ用語「バウンスバック」も持ち出していた。ボギーか、それより悪いスコアで上がったホールの直後のホールで、バーディーかそれよりいいスコアをマークすることをいう。

 <今年のタイガースはミスをしないチームではなく、ミスをすぐに取り戻せるチームになって欲しい。若い選手が多いチームだ。ミスをするな、と指導するより、ミスを取り返せとハッパを掛ける方が彼らにとっては良いはずだ>。

 確かに、開幕前、高代ヘッドコーチは「ミスを責め立てる言い方をすると縮こまってしまう」と語っていた。「発展途上のチームだ。思い切って可能性にかけてみたい」。ミスに若さの可能性とみていたのだ。

 金本監督も試合後、ミスについての質問に「それはもういい」「多少は大目に見ている」と寛容に構えている。

 大リーグには「ミスをするのは選手。それを許すのがファン」ということわざがある。阪神首脳陣はただミスに目をつぶっているだけではない。バウンスバックは元もと「跳ね返る」という意味だ。「跳ね返り野郎」たちの反骨心が快進撃を支えていた。 (編集委員

 ◆内田 雅也(うちた・まさや) 1963年2月、和歌山市生まれ。桐蔭高(旧制和歌山中)時代はノーコンの怪腕。慶大卒。85年入社。大阪紙面のコラム『内田雅也の追球』は11年目。軟式少年野球でコーチを務め「敗戦や失敗から学ぼう」と伝えている。今春の大会で最終回、逆転サヨナラ負けを喫し、子どもたちは泣き、大人たちは痛飲した。

 

最多失策を補うのは、ミスを恐れるのではなく、ミスしたあと取り戻す事と語る内田氏。

これは同意する。

ゴルフ用語のバウンスバックを例に出してきたが、それよりもスペインサッカーを思い出した方が、若い人には分かりやすいのではないか?

守りも大事だが、失点を恐れず、1点取られたら2点取れば良いという考え方。

まさに今の虎はスペインリーグの精神で一戦一戦戦っている。

 

 


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